『フィリピンパブ嬢の社会学』感想・フィリピンパブ嬢と結婚するということ

フィリピン
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フィリピンパブってほんとにどこの街にもあるし、フィリピン人と結婚してるって人もけっこういますよね。

以前、こんな本を読みました。

フィリピン人女性と結婚してフィリピンにわたった日本人男性が、財産をすべて失い、日本に帰ることもできず路上生活を続けている……。

そんな、年々増え続けているという「困窮邦人」について書かれたノンフィクションです。

この本を読んだ感想はこちらの記事に書いています。この本の内容もなかなか衝撃的でした。

そして今回紹介する本、『フィリピンパブ嬢の社会学』は、フィリピンパブ嬢と結婚することになった大学生のルポルタージュです。

お金持ちの中年のおじさんがフィリピンパブ嬢にハマるのは珍しい話ではないですが、筆者は当時大学生です。

もの珍しさと、わたしがフィリピン旅行に行ったということもあってずっと気になっていた本なので読んでみました。

フィリピンパブ嬢と結婚!大学生のリアルな体験談

書店では平積みにされていたので、けっこう売れてるみたいですね。

タイトルには「社会学」とありますが社会学と言えるほどの考察はなく、最初から最後まで筆者のリアルな体験談です。

当時大学院生だった筆者はフィリピンパブの研究をしていて、その調査のために訪れたフィリピンパブのホステスに恋をしてしまいます。

先生、友人、親、みんなに反対されますが、ホステスの雇い主のヤクザのところへ乗り込むなど紆余曲折をへて結婚。

そんな、若さゆえの純粋さと勢いでつっ走る筆者は、「困窮邦人予備軍」にも見えてきてしまいます。

文字通りの体当たり取材で、フィリピンパブで働く女性はどのようにして日本に来ているのか?雇用の実態は?フィリピンパブ嬢と付き合うとはどういうことか?結婚するとどうなるのか?

という、わたしが疑問に思っていたことが全部リアルに書かれていて、読み応えあります。

 

日本でヤクザの管理下のもと、劣悪な環境で働いている奥さんが苦労して得たお金も、当たり前のように浪費する「家族」たち。

よく知らない「自称家族」の人まで何十人と家におしかけてきて、筆者夫婦にお金をせびりにくる。

でもそれが当たり前だと思っている奥さんと、「これじゃあいくら働いてもお金が足りない」といきどおる筆者との衝突。

これがおそらく、何万組ものフィリピンパブ嬢と日本人男性との間に繰り広げられた光景なんだろうなぁ…と思うと、バカバカしいような、なんだかやるせないような気持ちになってきます。

フィリピンパブ嬢と日本人、どちらが奴隷のような生活か

そもそもフィリピンパブ嬢はどのようにして日本に来るのか?というと、

「興行ビザ」が規制されてしまった現在は、偽装結婚が主なようです。

それを斡旋するのはもちろんヤクザ。

筆者の妻となるミカちゃんも、偽装結婚で来日しています。

労働環境としては、

  • 給料は月6万円
  • 休みは月2日
  • しばらくは入管対策のため偽装結婚相手と同居
  • その後はゴキブリがうじゃうじゃいるボロアパートで他のフィリピン人ホステスと同居
  • 外出はほぼ店と家の往復しか認められておらず、ヤクザの監視つき
  • 売上ノルマが達成できないと、この少ない給料のなかからペナルティとして罰金をとられるので、客がつかないと逆に借金ができる

とここだけ聞くと「奴隷同然」

でも、

  • 1年のうち2週間の長期休暇が里帰りのために認められている
  • 給料は1年ごとに1万円ずつあがる
  • 客に気に入られればチップがもらえる
  • がんばればドリンクバックだけで月5万円ほどにはなる
  • 契約期間は3年で、契約が終わると給料は通常のホステスと同じに戻るので、月30万~40万以上稼ぐことも可能

と聞くと、3年耐えれば一発逆転とも思えます。

 

実際のところ、トイレはバケツ、大も小もいっしょくたにして裏の山に流していた、というような貧しい生活から一転、ミカちゃんと、先に来日していた姉のメイちゃんの送金によって、今や一家は高級住宅街に家を建てメイドまで雇ってるわけですから。

こうなると、「貧しさゆえに来日せざるをえずヤクザに搾取されるかわいそうなフィリピンパブ嬢」どころか、日本のブラック企業で働く人たちのほうがよほど搾取されているし奴隷のようじゃないか?と思えてきます。

そこで3年耐えたとしても「一発逆転」もないわけですし。

筆者が、ミカちゃんの雇い主のヤクザの人と話をしにいくシーンがあるんですが、意外と?ヤクザの人はまともなことを言っていて、ますますそう思ってしまいました。

とは言え偽装結婚は違法ですけどね。

フィリピンパブ嬢と結婚して「送金地獄」になった筆者のその後

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姉妹の送金によってフィリピンで裕福な暮らしを送る一家ですが、浪費以外のお金の使い方を知りません。

そして相変わらず日本は裕福な国で、お金は湯水のように湧いてくるものだと思っているので、姉妹に対して親戚中から金の無心が続きます。

そして「フィリピン人は家族を大事にする」というイメージ通り、姉妹は惜しげもなく金をばらまきます。

あー、こんな感じで「困窮邦人」ができあがっていくんだろうなぁ……と感じるくだりです。

 

本文は、二人が結婚して

「僕たちの今の夢は、いつかフィリピンで結婚式を挙げることだ」

というところで終わっていますが、続きが気になる……。

と思ったらありました、続き。

フィリピンパブ嬢のヒモだった僕が結婚し「送金地獄」にハマるまで(中島 弘象) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

なんというか……おそらくおおかたの人が予想したであろう「送金地獄」の状態になられているようです。

これから彼ら夫婦やそれぞれの家族はどうなっていくんでしょうか。

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