久しぶりにバーに一人で飲みに行ったら、席に着いて何を飲もうか考えているときにおじさんに話しかけられました。
話しかけられることについては、わたしはわりとウェルカムな方です。
なのにそのときは、そのおじさんの一言目から「あぁ、このタイプの人か……」とがっくりきて話す気を失ってしまいました。
これを読んでいる男性のあなたももしかしたら無意識にやってるかも⁉
ってことで、バーで一人飲みする女におじさんが言ってはいけない一言について書いていきます。
「どんな感じのが好きなの?」
わたしは酒好き話し好きなので、たまにひとりでバーに行きます。
ひとりは何かと気楽だし、解放感があって、いまこの時間だけは完全な自由、って感じがあって満たされます。
『孤独のグルメ』の主人公である井之頭五郎のセリフ、
モノを食べるときはね
誰にも邪魔されず
自由で なんというか
救われてなきゃあダメなんだ
独りで静かで豊かで……
っていうこの感じです。
こないだも職場の近くでちょっと良さげなショットバーを見つけたので入ってみました。
そこはジャパニーズウイスキーが多くそろっているお店で、値段も手ごろそうでとりあえずひと安心。
カウンターに座ってバックバーを眺めながら、一杯目は何を頼もうか……と真剣に考えていると、近くに座っていた常連と思しきおじさんが話しかけてきました。
「どんな感じのが好きなの?」
……うわ~~~~、出たよ。
と心の中で思いながらわたしは自分でも気づかないうちにそのおじさんをスルーしてしまいました。
そしておじさんは、わたしにスルーされたために若干機嫌を損ねたようである、ということに、注文を終えてから気がつきました。(知らんがな)
バーでこういう話しかけ方をするおじさんにわたしはわりと遭遇してしまうんですが、女性のみなさんいかがでしょうか。
よくいません?こういうおじさん。
これを読んでいるおじさんのあなたも、こういう声のかけ方したことありませんか。
どんな感じのが好きかはマスターに言います
わたしは初めて入るバーで一杯目を注文するときに、かなり悩むほうです。
行きつけのバーなら、置いてあるお酒がだいたいわかっているのでそんなに悩むこともないんですが。
それを自覚しているので、店に入る前にある程度の方向性を決めようと思うのですが、店に入って珍しいウイスキーがあったり、旬の果物を使ったおいしそうなカクテルがあったりするとすぐに心が動かされるので、事前にプランを決めるのは無理だ、ということがわかりました。
なので席に着いてから一杯目を注文するまでは、わたしの頭のなかはとても忙しいです。
バックバーやメニューを熟読しながら、いま自分はあとどれくらい飲めそうだろうか、仮に三杯くらいだとしてその三杯をどう組み立てるか、〆の一杯にはアイラ系のウイスキーで終わるかそれとも甘めのカクテルを持ってくるか、……それによって一杯目になにを飲むかが変わってくる……
この店は珍しいウイスキーが多く置いてあるからカクテルはやめてウイスキーだけで組み立てるか……イチローズモルトの飲んだことないやつあるけどいくらかな…高いだろうな……とりあえず何か軽めのものでハイボールからはじめるか……
などと、とにかく真剣に、少なくとも三手先くらいまで頭をフル回転で考えています。
そこへ急に知らないおじさんに
「どんな感じのが好きなの?」
って聞かれても、困るわけです。
その言い方と態度には、
「バーにひとりで入ってみたもののお酒のことはよくわからないから何を注文していいかわからない女」に俺が教えてあげよう。
という気配がありありと感じられて、しかもわたしのことをそう決めつけたのは単にわたしが「年下の女」だから、というおそらくただそれだけのことで、その思考回路に最初からうんざりしてしまうのです。
タメ口で道を聞いてきて、教えてあげると礼も言わずに立ち去るおじさんがたまにいますが、それと同じ種類のおじさんだと思われます。
ていうか仮におじさんのお酒の知識が本当にすごくても、わたしが本当にお酒のことを何も知らなかったとしても、わたしはお酒のことはマスターに聞きたい。
そもそも「年下の女」だというだけで初手からこちらを下に見たような態度で声をかけてくるおじさんの話なんて、全く聞く気になれません。
そしてマスターという酒のプロの前で、「俺が教えてあげよう」なんてよくそんな態度とれるなぁ、恥ずかしくないのかなぁ、とも思います。
ここでもう一度、井之頭五郎の名言。
モノを食べるときはね
誰にも邪魔されず
自由で なんというか
救われてなきゃあダメなんだ
独りで静かで豊かで……
わたしは初対面でも感じのいい人とならいくらでも話したいし、話しかけられることにも全く抵抗はありません。
むしろそれが一人で酒を飲むときの楽しみのひとつでもあります。
ただ、いきなり「俺が教えてあげるよ」的な態度は、女性からしたらうっとおしいだけ。
「この人とは距離を置こう…」と、要警戒人物として即座に認定してしまいます。
その言葉と態度、「マンスプレイニング」じゃないですか?
ここ数年ネットで広まっている「マンスプレイニング」という言葉と概念。
わたしも何かのネットニュースをきっかけに知りました。
この言葉そのものや使われ方などについては賛否両論あるみたいですが。
「マンスプレイニング」とは、
男を意味する「man」(マン)と解説を意味する「explain」(エクスプレイン)をかけ合わせたかばん語。一般的には「男性が、女性を見下すあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」
Wikipediaより引用
(ちなみに「かばん語」とは、複数の言葉の一部を組み合わせて作られた語、という意味)
まさに、バーで「どんなのが好きなの?(俺が教えてあげるよ?)」といきなり上から目線で話しかけてくる行為はこれに当たると思います。
リリー・ロスマンは「マンスプレイニングは通常、男性が女性に対して行うもので、相手が自分よりも多くを知っているという事実を考慮しようともせずに解説し出すこと」と定義する。レベッカ・ソルニットは一部の男性に見られるこのような現象を「自信過剰と無知」の組み合わせから来るものだとしている
Wikipediaより引用
「相手が自分よりも多くを知っているという事実を考慮しようともせずに解説し出す」
これ、一部の男性は無意識のうちにやってしまいがちな行為であると思います。
そして、これをされたことが一度もない女性っていないんじゃないでしょうか。
それくらい、女性からしたら日常生活でよくあることです。
「マンスプレイニング」について調べていたら下のマンガを見つけたので、参考までに。
女性になんでも解説してくれる人の漫画を描きました。 pic.twitter.com/icnczBomlJ
— 小林ギリ子 (@kobayashigiriko) January 24, 2017
裏を返せば、この「マンスプレイニング」をしてこない男性はそれだけで、女性からしたら話しやすい相手です。
相手が女性でも自分より20も年下であっても、「 相手が自分よりも多くを知っているという事実を考慮」して、一定の敬意をもって接すること。
言葉にするとすごく普通のことだと思うんですが、男性はそこに気をつけるだけで、女性側は心を開いて話ができると思います。
バーや居酒屋などで、女性にうまく話しかけたつもりだったのにスルーされてしまったことのある男性は、「自分の言動が『マンスプレイニング』になってないか?」を振り返ってみるといいかもしれません。
コメント
その人の空気感によるけども、単純に「どんなお酒が好きなのか」を聞いた可能性を考慮出来ないんだろうか。出来ないんだろうなぁ…
>匿名さん
コメントありがとうございます(^^)
まさに、その人の空気感にもよりますね。
ただ、バーで席に着いてすぐの見知らぬ女性に話しかけるということ自体、マナー的によろしくないかなと思います(^_^;)